初日から噂のあいつ


「おはよー、ひかる」

『おはよー、あかり』


挨拶を交わせば、キョロキョロと辺りを見回し始めたあかり。


『どうしたの?』

「海くんは?」

『え?』


次の瞬間、肩を思いっきり掴まれた。痛いんですけど。そして、顔も恐いんですけど。


「海くんは!?一緒じゃないの!?」

『海?・・・・ああ、だって、アイツは、入学式だし』


入学式は20分程度で終わるので、毎年新入生と係りの生徒だけで行われる。


「でしたねー。忘れてたよ。」


はあー・・・・。と肩を落として落ち込むあかり。


「なんだぁ、せっかく、ひかるに声かけたのに。海くんは、いないのか。」

『その発言、あたしに対して失礼じゃねぇ?』

「全然」


再度ため息を吐いて、足早に校舎に歩いていく。


『ひでー。』


軽く笑って、あかりの後ろ姿を追う。追いつくと、少しだけ速度が落ちた。


『入学式が終われば、どっかで会えるよ。』

「あんたはいいよね。年中無休で海くんに会えるんだから。」

『そりゃ、姉と弟ですから。』


てゆーか、海ってそんなになるほど、モテる要素があるかな?


「ねぇねぇ、今の人めっちゃカッコ良くない!?」
「ヤバい、好みかも!」


顔を紅く染めて、きゃっきゃっと言いながら、あたし達の隣を通り過ぎていった。


「なんだろう?」

『さあ?』





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