ラッキー☆ルーレット
第六回 忘れられない『約束』
 「う~ん……」

「どうしたんだ?難しい顔して」

ミクは腕を組んで唸っている。まるで『考える猫』だな。

「さっきね、ルーレットの指数が一瞬だけ『1』になったの!すぐゼロに戻っちゃったけど」

「何かの間違いじゃねぇの?だってラッキー指数が上がることはないんだろ」

「前例がないだけで、もしかしたら──」

「ルーレットもこの暑さで壊れたんじゃないのか」

「まさか。やっぱり……見間違い……なのかな?」

七月……。苦しい地獄のテストを終え漸く掴んだ『夏休み』。
今日もまだ午前中だというのに日が高く、暑くなりそうな予感。蝉の鳴声も遠くから近くから聞こえ、さらに暑さと欝陶しさに拍車をかける。

「さっきから気になっているんだけど……そのルーレット、光ってるぜ。その手紙みたいなマークが」

彼女が眺めていたルーレットを後ろからそっと覗く。

「あ、これはメッセージボタンね。ラッキードリームの本部からのメッセージが送られてくると光って教えてくれるの」

「へぇ~携帯みたいな機能もあるんだな」


ポチ。


なっなんだ?
彼女がボタンを押すとルーレットは光りを放ったと同時に、一人の少年の姿を映し出した。

「……幻影?」

「驚いた?これは映像メッセージになってるの」

これも科学の進歩ってやつなのかな?
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