パパとママだけのヒミツのお話

いるのは確かに車の中。

そしてあたしの前には大きな鏡があって。


今これを見ている自分は一体誰なんだろうって

あまりにも不思議で


一体何が起きているのか分からない。


「メイ、とっても綺麗だよ」


横にはお父さんが座っていて。


あたしの手をぎゅっと握ってくれている。



「あたし、どうしてこんな格好」


意味が分からない。


どうしてあたしが

ウェディングドレスを着て

綺麗にお化粧してここにいるの?


「想くんが準備してくれたんだ」

「想が?」

こくんと一つ頷くお父さん。


「でもでもあたし、こんな格好する資格なんて」


みんなを騙していたあたしに

こんな真っ白いドレスは似合わない。


「メイ。誰にも幸せになる権利はあるんだよ」

「でも」

「メイが今まで頑張ってきたのはみんな知ってる。
どれほど辛い思いをしてきたのかも、
みんなに黙って申し訳ないって思っていたのも」


お父さん・・



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