ソンザイ
出会いは体育館裏

あんなヤツいなくなればいいのに!

「あんなヤツいなくなればいいのに!」
私はいつものように昼の体育館裏で叫んだ。
私は嫌なことがあると人気のないところを探して大声で愚痴を言う癖があった。
親友の針谷 優衣(ゆい)と、お隣さんの田町 蒼(あおい)はそのことを知っている。
優衣は私の小学校以来の親友で私のよき理解者である。中学校にあがってクラスははなれたもののいまだにその友情は続いており、この体育館裏という絶好のストレス解消場所を見つけて教えてくれたのも優衣である。
蒼ちゃんはお隣さんで、家族ぐるみの付き合いをしている仲だ。私より2こ上の高1で地元のレディースのトップでもある。でも優しくていつも励ましてくれる私にとってはかけがえのない存在である。
蒼ちゃんの弟は私と同い年の田町 湖白(こはく)。通称、しろ。あんなヤツいなくなればいいのにの張本人である。全く同じ姉弟とは思えないほど根性捻じ曲がっててバカでウザったいヤツなのに小学校1年生の時から一度もクラスがはなれたことのない、いわば腐れ縁なのだ。このくっつきぶりは親と学校が仕組んでるのではないかと思うぐらいに納豆や靴の裏に付いたガムのごとくネチネチネチネチとまとわり付いているのだ。
そんな優しい人たち(マイナス湖白)に囲まれてなんとなぁく幸せに暮らしている(湖白さえいなければ最高なのに)私の名前は藍巣 紅葉(くれは)。通称、べに。ごく普通の中学2年生。ただちょっと根に持ちやすいだけ。
さっきも言ったようにしろとは腐れ縁でいつの間にか小学校や地元では紅と白の紅白コンビとしてちょっとした有名人になってしまった。

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