【BL】背徳の堕天使


俺は、一瞬にして理解した。



ノーマルな佐久浪に、俺をあてがった男が俺を選んだ理由。


佐久浪が、財布を拾っただけの俺を一日中付き合わせ、部屋に呼んだ理由。



それに気付いて、俺は大声で笑い出したい気分になった。



俺はその女の代わりってヤツか。



なんだ、落とすのなんて簡単じゃないか――。



俺は一呼吸置いて、佐久浪に尋ねた。


「……名前は?」



え?という顔をした佐久浪に、俺は微笑んだ。


「似てる女の名前」


< 34 / 98 >

この作品をシェア

pagetop