【BL】背徳の堕天使


ぼっ、という音が聞こえるくらい真っ赤になった賢杜。


それを見て俺は、けらけらと笑い声を上げた。


「……大人をからかうもんじゃない」


かすれた声は少しだけ震えていて、怒ったのかと思い顔を見る。


表情に微かに差す影。

触れてはいけない気がした。


きっと今、瑠唯を思い出させてしまったんだ。


そう思ったら、写真の中にいたあの女が、イタズラな言葉を向けてけらけらと笑った顔が思い浮かんだ。


そして、そのことを利用して更に賢杜に近付くチャンスだというのに、俺はそっと賢杜から視線を外した。



< 61 / 98 >

この作品をシェア

pagetop