彼女はまるで風のようで
「ごめんなさい。そのことなんだけど…あたし実はユウタの一個上なんだ。」





僕はフウカの意外な答えに困惑した。





そして、その事実とフウカの涙との関連性がいまいち理解できなかった。





キョトンとしていた僕を見かねて、フウカはこう付け足した。





「あたし、ひとつ下の弟がいたの。つまり、ユウタと同級生。要(かなめ)っていうんだけど、合格発表の前日に事故で…。」





「もういいよ。つまり、弟のかわりに合格発表見に来てたんでしょ?」





フウカは涙を拭いながら頷く。





そのあと気まずい沈黙がながれ、僕は空気を察し、再び自転車にまたがった。





「昼休み、図書室で。」





フウカはそう言い残すと、僕に手を振り行ってしまった。





確信はもてないけど、フウカは何かを隠してる。





僕はそんなことを考えながら家路についた。
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