彼女はまるで風のようで
第3章 「雷」
連れて来られたのは、ちょうどあの日掲示板が立っていた場所。





「一年前の合格発表の日、弟は殺された。」





その時の僕は不思議と冷静に、その事実を受け入れることができた。





フウカはさらに続ける。





「そして、あたしの父が逮捕された。でも、弟を殺した犯人は父じゃない。」





「じゃあ犯人はまだ…。」





「そう、今もどこかで呑気に暮らしてるのよ。許せない!」





フウカは唇を噛み締め、肩を震わせている。





その表情はとても17歳の女の子が出せるようなものではなかった。
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