彼女はまるで風のようで
「あたし、今ここに一人暮らししてるの。」





フウカが指差したのは、年期の入ったアパートの一室だ。





壁にはヒビが入り、看板や手摺りにはツタが巻き付いている。





ドアを開け、中に入ると外観との違いに驚かされた。




綺麗に手入れされた台所、奥に行くといかにも女の子らしいピンクを基調とした部屋があった。





「驚いたでしょ?ここはもともと父が借りていた部屋なの。父が好きに使ってくれって。通帳と印鑑まで渡してくれたの。」





僕は父の部屋と聞いてまず、単身赴任用に借りた部屋なのかと思ったがすぐに違うことがわかった。
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