男前な彼女




「あれ?父さん?」





朝陽兄ちゃんも今 帰ってきたらしい。


コンビニの袋を手に持って、リビングに現れた。




――まずい。



厄介なのが揃ってしまった。








「父さん……」


「朝陽……」






お父さんと朝陽兄ちゃんは目をキラキラさせ始める。




…あくまでも、周りにはそう見えるだけだが…。







「うわぁ~ん!!」


「おうおう、父さんの気持ちが分かるのは朝陽だけだよ!!」






お父さんと朝陽兄ちゃんは抱き合い始めた。




ここからは二人の世界だ。



何故、朝陽兄ちゃんとお父さんは抱き合っているのか。


何故、急にこんなことになったのか。




それが分かるのは、本人たちだけだ。





決して、焦ってはいけない。


こんなことは日常茶飯事なのだから。








「ちょっと、あんたたち!バカやってないで、さっさとご飯の準備する!!」


「母さんが冷たいよぉ……しくしく……」


「ちょっとあなた、あなたがそんなんだから朝陽がこんな風に育ったのよ!」


「どういう意味だよ、母さん!!」








3人のまるでコントをしているような会話は、見ていて飽きることはない。




――平和とは、こういうものなのだろうか…




しみじみと感じる。












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