男前な彼女




上牧は約束通り、さっきと同じ場所にいた。





「お待たせ」


「遅い!」






ちょっと怒ったような顔をして、あたしを見上げる。






「……仕方ないじゃん」


「ったく……」




怒りながらも許すのは、優しいからか、それともあたしに甘いからなのか…


もしかしたら、どっちもかもしれない。






「…まぁいいや。今から俺の家に行くぞ!」






上牧はそう言うと、急にあたしの手を掴んで歩き始めた。





「…え?えぇ…なんで急に……?」





少し早く歩く上牧に引っ張られながら、話しかけるけど、上牧は答えない。


後ろからだと表情も分からなくて、上牧が何を考えてるのかなんて検討もつかない。








< 212 / 412 >

この作品をシェア

pagetop