男前な彼女
……あの時はどうかしてたんだ。
というか、話を聞いてなかったんだ……。
あの後も、なんとか事情を話そうと試みたけど…
『ふんふんふ~ん♪クリスマス~♪』
ついに鼻歌まで歌い始めた兄を、直視すら出来なくなった。
言うのが遅くなればなるほど言いづらくなるのは分かっていた。
でも……
――言えるかっ!!!
やはり、あたしには兄を悲しませる勇気はなかった。
時々、解読不能にはなるものの、いつも朝陽兄ちゃんにはお世話になっているし、
あたしが悲しませるようなことを言うと尚更 朝陽兄ちゃんは落ち込むような気がする。
――やっぱり言えない。