男前な彼女





「兄さんには俺から言っておくから。早く行ってあげな。きっと、上牧君も待ってる」


「うん!」







海兄ちゃんが神様に見えた。








あたしは走り出そうとして、止まった。



そして、振り返った。







「咲夜?」





いつもお世話になっている兄ちゃんへ、感謝の気持ちを込めて。










「ありがとう、海兄ちゃん」









あたしは走り出した。









海兄ちゃんは、優しく微笑んでいた――
















「クリスマスは、好きな人と過ごしたい……か」




遠くを見つめ、呟く。





「そんなものかなぁ…」




海兄ちゃんが溢したその声は、あたしには届いていなかった――













< 248 / 412 >

この作品をシェア

pagetop