男前な彼女




――お正月も上牧といるのはちょっと難しいな…




「ん?どうしたの?何か問題でも?」


「……兄ちゃんですよ」




そう。


あたしには『高槻朝陽』という、それはもう、立派すぎるほど立派な兄がいることを忘れちゃいけない。



あの兄ちゃんがあたしを上牧といさせてくれるだろうか……


クリスマスに上牧のところに行ったことも、相当怒っていた…というか、悲しんでいたし……





……やっぱり、難しいと思う。





「あぁ……前にお店に来ていた人ね。なんというか、面白い人だよね。一直線というか…咲夜ちゃんしか見ていないっていうか……」


「こっちは心配ですよ…。あたしばっかり見てたら、彼女できませんよ…あの人」




あたしのことを心配してくれるのはいいんだけど、やっぱり自分のことも考えてほしい。




――…実は彼女とかいるのかな?


聞いたことないけど……








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