男前な彼女
あたしが落ち込んでいるせいで、南の悩みをろくに聞いてあげられない。
なんて、自分勝手なんだ……
いつも南には助けてもらってばっかりなのに…
南が元気ないときに助けてあげられないなんて…
自分のふがいなさに腹が立つ。
「ごめん、南…」
「な、なーんで、謝ってんの!ほら!咲夜のこと呼んでる人がいるよ!行ってあげな!」
教室のドアの近くで他のクラスの子があたしのことを呼んでいた。
「ちょっと!何ぼーっとしてんの!行きなって!」
無理した感じの南。
焦りながらも、笑顔であたしに接する。
「ごめん、ね……」
あたしは南の元を離れ、呼んでいる子の所へ向かった。
「言うべきか、言わざるべきか…」
南はあたしの背を見ながら、ひっそりと呟いた。