男前な彼女
顔をあげると、大和が微かに笑っていた。
久々に見た笑顔に、あたしはほっとさせられる。
大和があたしの手を掴み、ぐいっと引っ張る。
あまりの力に、あたしの体よろけ、大和に抱きとめられた。
「…負けたよ」
耳元であたしに聞こえるぐらいの声で大和はそう言った。
懐かしい、声……
今まで何を言っても、答えてはくれなかったから。
声を聞くことができただけで…
嬉しい。
「…!?大和様?」
「ごめん」
「……?」
「俺、こいつの『ご主人様』だから」