ウソ★スキ
バスがバス停に止まると、ソラはいつものように先にバスに乗った。

そしてこれもいつも通り、通路へと進む。


あたしは、その後に続いて、入り口近くで立ち止まった。


「美夕、おいで」

ソラは、そんなあたしの腕をぐっと引っ張って、あたしを通路へと引き寄せる。


「話し相手になってよ、俺の」

ソラは、そう言いながらあたしのバッグを取った。

「えっ?」

「美夕、今日具合悪そうだから、持ってやるよ」

「でも……今日、辞書入ってるから、重いよ?」

「大丈夫。俺、美夕よりは力あるし」


そう言って、ソラは笑った。


「あ、ありがとう」


あたしはソラの横にいるのがなんだかとっても照れくさくて、


バスに乗っている間、ずっと下を向いていた。







< 30 / 667 >

この作品をシェア

pagetop