ウソ★スキ
玄関にも、ドアが開け放しになったリビングにも、照明がついていた。



ふとリビングに人影を感じてそちらに視線を向けると、そこには先輩が立っていて。

先輩はあたしと目が合ったかと思うと、なにか小声で呟きながら、早足であたしたちのいる玄関に向かって来た。

先輩は、離れた場所からでもよく分かるくらい、険しい顔をしていた。


やっぱり、怖い──。

あたしは思わずそんな先輩から目を逸らてしまった。

そして、繋いでいたソラの手を離して、ソラの背中に隠れようとした。


……だけど、ソラはどちらも許してくれなかった。


「美夕、逃げたらダメだ」

って強い口調で言って、


逃げ出そうとするあたしの手をぎゅっと強く握り直した。



それから数秒後には、先輩はあたしたちの前に立っていた。


先輩が目の前に立った途端、

「先輩。俺たち、先輩に話したいことが──」

緊張気味の声でそう切り出したのは、ソラだった。



──だけど。

そんなソラの言葉に耳を貸そうともせずに、先輩はあたしたちにこう言った。



「……キラちゃんは、一緒じゃなかったのか?」






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