ウソ★スキ
「美夕……」

「ウソだからね! これも、ソラをだますためのウソなんだから!」


あたしは、何か言いかけたソラの言葉を遮って、そう叫んだ。


顔を両手で隠して、

その奥で、

いっぱいいっぱい泣きながら。

いっぱいいっぱい震えながら。



すると、

今まで怖いだけだったソラの手が、急に優しく、柔らかくなって、

あたしの腰に触れた。


そして、1本の指で、あたしの傷の跡をゆっくりとなぞった。



「バカなことして……」



あたしのおなかに、ふわりとソラの髪の感触がした。

そして、その場所に温かい息がかかる。


次の瞬間、あたしの腰……ちょうど傷のあたりに、

柔らかい唇の感触と、
チクッと刺さるような痛みを感じた。


「……やっ!」


あたしは顔を隠したまま、体をビクンと引きつらせた。





< 87 / 667 >

この作品をシェア

pagetop