【戦国恋物語】出会いは突然風のように…
「なんで?」

と言いながら体を伸ばすと、わたしよりも頭二つ背丈の高いその偉丈夫は、穏やかに笑いながら桶を手に取った。


「足利のに少し手直ししてほしいと言われてまた京に来ていたんだが、この天候だから工事が中断したんだ。それでまあ様子を見に来たってわけ」


気まぐれなのか、何なのか……いつも突然来る男だ。


それも今回は嵐の真っ只中だ。


半ば呆れて秀政の顔を見上げていると、頬にぽつりと冷たいものが落ちてきた。


「降ってきたな。行こう」


秀政は難無く桶を持ち上げると、足早に勝手口へと戻っていく。


わたしも小走りであとに続いた。


ぽつぽつ ぽつぽつ


雨は次第に強さを増していく。


そして丁度わたしが軒下に入った時、ざぁあと音を立てて大粒の雨が降ってきた。


間一髪だった。


あっという間に地面には大きな水溜まりが出来ていく。


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