【戦国恋物語】出会いは突然風のように…
まだ雪深い鈴鹿峠をやっとの思いで越え、尾張にたどり着いてからひと月。


わたしはようやく新しい暮らしに慣れつつあった。


清州の城下にある秀政の家で、下働きをしながら過ごしている。


秀政は何もしなくていいと言ったけれど、京で尼さまにみっちり仕込まれたわたしはやはり何かしていないと落ち着かなくて、主に台所仕事を手伝っていた。


一年前には考えられなかった暮らし。


何もかもが新鮮で、有り難い。


どうのような前世の因縁で、わたしはこのような人生を送ることになったのか。


尾張の美しい景色を見るにつけ、そう思うのだった。



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