俺色〜ある草食系男子の日々

「陽菜ちゃんもきっと苦しんでる」



「え?・・・・」



「きっと・・・・陽菜ちゃんは苦しんでるよ。好きな人の記憶がなくなって・・・その彼が自分の知らない間に遠く離れてしまうんだよ」



「それを言うなら、陽斗もだろ?好きなのに、離れなきゃならない・・・って」



それはそのままあの時の俺の気持ち。


俺たちの気持ち。



俺はドアノブに手をかけて最後に聞いた。



「ひなた・・・お前今でも美馬さんのこと・・・・・・?」



振り返ってみると、ひなたは「さぁどうだろ」って首を傾げて見せてから、


にこっと笑って俺を見つめた。



ひなた・・・好きだよ。



けど、やっぱりわかんねぇんだ。



恋愛ってなんだよ。



好きになっても・・・離れてってしまう。


けど・・・


けど、言わずにはいられないよ、ひなた。


< 138 / 167 >

この作品をシェア

pagetop