「やはり駄目だ。たかが花などなんの役にも立たない」

レオナルドはがっくりと肩を落とす。

「そんなことない! 砂地に強い花はっ?」

「そうか、菊だ。菊よ咲き乱れろ!」

人々の視線はダイナマイトを持った野上に注がれている。レオナルドはチャンスとばかりに羽ばたいた。

「うわぁっ、なんだ? これは」

野上の周りはしっかりと砂に根を張った菊で埋め尽くされた。

「もうひと押しだ。それっ」

レオナルドが羽ばたくと、立ち尽くしている野上から次々花が生え、ダイナマイトの導火線も遂には花になってしまった。


< 124 / 199 >

この作品をシェア

pagetop