鍛錬の日々

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トゥインクルは遣い魔としてのスキルを高めるベく、擬態の特訓を始めた。今も黒猫のぬいぐるみになって、俺のスポーツバッグに収まっている。

俺はと言えば、全日本ライフセービング選手権に出るため、ウィークポイントの一つであるビーチフラッグの特訓にいそしんでいる。

「くそっ、どうしてもスタートが遅れちまう」

俺の長身はスイムには向いているんだが、やはり俊敏性にはマイナスに働いちまうんだ。

「なぁぁぉ」

気付くとトゥインクルが心配そうにこちらを覗き込んでいた。

「どうした。じっとしてるのがつまらなくなったのか?」

「にゃう!」

トゥインクルは短く一喝する。

「にゃにゃ、にゃう!」

腰を落とし、足の曲げ伸ばしをしながらフラついてみせ、

「なぉ、なぉお」

自分の後ろ足を指して首を横に振っている。


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