タイム・リミット
「それって、夏休みの中の一週間に、アウトドア生活するやつでしょ?
やだよ。たとえ一週間だって、何で野外活動なんかしなくちゃいけないのさ?」

「そんなこと言わないでよ。
じつわさ、主催のPTAの中に、久保の母親もいるんだってさ。
で、久保も強制参加だって聞いたのよ。」

「え?久保くんが?」



優子の口から出たその言葉に、私はピクンと反応した。


久保直哉。
何処にでも居そうな名前の彼は、入学式の日、私が一目ぼれしてしまった男の子だ。
沢山並ぶ桜の木の中、ひときわ大きな桜の下で、私と同じ一年のカラーのネクタイを締めた彼に、私は一瞬で心を射抜かれた。

私は1-6で、彼は1-1
全10クラスで5クラスごとに塔が違うこの学校では、久保くんとの接点がまるで無い。



「どーした?」

「・・・・・・、」



黙りこくった私の顔を、優子が覗き込む。
その口角は、少し上がっている。



「ん?」

「参加は・・・・」

「する、でしょ?もちろん。」




静かにうなづいた私を見た優子の顔は、ひどく満足気だった。





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