恋文〜先生へ綴る想い

「そんなの、新学期が始まってから執行部のみんなで決めればいいでしょ?」



そう言い捨てて生徒会室を出ようとした私をよそに、



「でも実結は生徒会の顧問だろ…?校内に流す曲については、やっぱ顧問の許可が必要かなって思ってさ」



かめちゃんは生徒会室の隅に置いてあったCDラジカセの再生ボタンを押した。



「あ、この曲…」



流れてきたのは、ラズベリー・サンデーのなつかしい歌だった。


久々に聴くボーカルの甘い声に、ほろっときそうになる。



「実結が好きだって言ってたバンドって、これだろ…?」


「あ…、うん」


「やっぱりな」



かめちゃんはにこっと微笑んで、CDケースをひらひらさせた。



「実結が好きだって言うからさ、俺も聴いてみたくなって、わざわざアマゾンで買ったんだよー」


「へー…」



興味があるんなら、ラズのCDなんて私がいくらでも貸してあげたのに…。



そんなことを思っていると、かめちゃんは私に近づいて言った。



「それで俺、新入生歓迎会には絶対この曲がいいんじゃないかって思ったんだけど…、実結はどう思う?」
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