小悪魔男子
せめて一緒に学校に通いたいと思って話を切り出してみたんだけど…
「ごめんね…。お母さんと華耶が、僕の傷口が心配だからって…朝は華耶が送ってくれることになったんだ。夏休みももうすぐだし、それまでは って」
電話口でそう言われてからずっと会っていない。
以前の大和なら大人たちをどうにか丸め込んで断るような事も、彼女が来てからは大人しく従うようになってしまった。
やっぱり華耶さんの影響力はすごい。
というか、逆に大和が丸め込まれてる感じがする。
日曜日の今日だって、その時の電話で遊ぼうと誘ったのに「今はあんまり出歩かない方が良いって言われたんだ」と、断られてしまった。
あたしだって傷の事を言われたら引き下がるしかないじゃん。
なのに、今日家に訪ねて行ったら誰もいる気配がなく、華耶さんの車もなくなっていたんだ。
単純に考えて、あたしの誘いは断って華耶さんと出かけたって考えるのは当然だよね。
実際、大和の家の明かりが灯ったのは8時位だもん…。
はぁー…
今日何度目になるか分からないため息を吐く。
なんか、嫌だな…。
大和との微妙な距離も
このストーキング行為も。
自分が情けなくて
同時に腹も立った。