小悪魔男子


あっと言う間にあたしの出番が来て、魔女の糸車に指を指して気を失う場面。


「えー…っと


"私も紡いでみてもいいかしら"」



「"…あぁ。やってご覧"」



プスリ。



あ~れぇ~ って言いたくなるほどにグルグル回転しながら冷たい床に倒れ込む。


嗚呼、恥ずかしい。



真希の演技指導は大袈裟過ぎる。



クスクスと言う笑い声を聞きながら、必死で終演を待った―――――……………








―――――――



「お疲れ様ぁ!みんな、良かったわよー」


遠藤先生が、隣のクラスが販売するジュースを両手に抱えて控え室に入ってきた。



「あんまりだと思わない?今日の今日までほっといたクセに…」


「薫ちゃん…聞こえるよ?」



遠藤先生は聞こえてないのか、聞こえないフリをしているのか

みんなに笑顔でジュースを袋から取るように促していた。



「ねぇ、次は午後でしょう?今の内に校内回ってきましょうようッ」


キャッキャと薫ちゃんがハシャぐ。


「いーけど。先に着替えて来ようぜ」


フリル付きの王子服をパタパタさせて暑がっている和樹と


「じゃあ着替えたら教室に集合ね」


腰に手をあてた真希が同意し、あたしは女子更衣室へと向かった。




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