小悪魔男子
「…寝た?」
沈黙に耐えれなくなったあたしは大和に話しかける。
「まだだよ」
返事はすぐに返ってきた。
「…お父さん達、東北に行ったんでしょ?何県?お土産くれるかなぁ?」
話題を探して、聞いたのがソレだったんだけど…
大和の口から出たのは、思った以上に重い答えだった。
「…ホントはね。僕、知ってるんだ。
母さんと父さん…東北なんか行ってない。
家庭裁判所に離婚の調停に行ってるんだ…」
「家庭裁判所…?……離婚…?」
「昨日の夜の口喧嘩でそう言ってるのを聞いて知ったんだよ。
母さんの浮気がバレて、父さんが離婚に踏み切ったんだって。
調停に行ったのは、親権をどっちにするかで揉めてるらしい。
父さんは会社の後継ぎにしたい。
母さんは…
多分、僕を理由に養育費を貰うつもりなんだと思う」