薔薇姫-another story-


あれは、いつだったか。



貴族生まれの俺は、やっぱり貴族の女と恋に落ちて。


そのまま結婚し、二人の子を授かった。



俺の名前に近づけたくて、二人の息子には、それぞれ『レオ』『ネオ』と名付けた。


それを嬉しがっていた俺に、妻が「親バカみたい」と微笑んだのを、今でも覚えている。



もともと病弱だった妻は、二人目のネオを産んですぐに、息を引き取った。


ネオは、母親のことなんかこれっぽっちも覚えてないんだろうな。



弟の誕生と、母親が亡くなる姿を目の前で見ていたレオは、当時20歳。


人間でいうと、2歳。


そんな幼かったレオは、その日を境に、一切泣き言を言わなくなった。



俺としては、そんなレオの成長が嬉しかったし、誇りに思っていた。


けど、どこで間違えたのか。


どんどんひねくれていくし、俺の愛情を目の前で踏みつけるようになった。



< 45 / 56 >

この作品をシェア

pagetop