禁じられた遊び
第三章

小花Side①

『俺に守られたくないなら、さっさと勇人さんのとこに行きやがれ』

別に、克波に言われたからじゃない

ただ克海のところに戻りたくないだけ

克海だと濡れないし、全然気持ち良くない

1回で30万っていうのには、心が揺らぐけど

『無駄な行為』

克波に言われた言葉が、耳の中で甦る

痛いところを突かれた気がする

春になって、九条から逃げ出してからの生活を考えてみた

私は小山内君の胸に飛び込む

小山内君が私を受け入れてくれる

……そして人生を一緒に歩んでいく

今、小山内君の胸に飛び込んでも、大差はない気がしてしまった


ううん、違う

差はある

自力で九条から逃げ出したか
…小山内君に守ってもらうか

違う、ちがう

差はないんだ

来年の春だろうが
今だろうが

だって、来年の春に逃げても九条克海は探すだろう

自分の手の中から、勝手に飛び出した者に容赦ない仕打ちをするために

お金を貯めて逃げて…小山内君と一緒になっても

結局は小山内君の権力によって、九条克海から守ってもらう

だから

今、九条家から逃げても
来年、逃げても結果は同じ

それがわかっているから克波は『無駄な行為』と言ったのだろう

私の心の問題であり、結果に大差なんてない
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