さんかく!
ひどい絶望を感じながら、あたしはとぼとぼ帰り道を歩いた。






--
「とりあえず今日見たことは誰にも言わないこと。言ったらどうなるか、大体想像つくよね」


旧校舎から出てきた各務は、何事もなかったようにそう言った。

誰かがその様子を見ても、さっきまで修羅場だったとは誰も思わないだろう。


赤く腫れた頬がなければ…




「さて、もう帰ろうか。大分遅くなってる」

こっちの都合もお構いなしに、さっさと歩き出した各務。
聞きたいことは山ほどあるのに、人を寄せ付けない雰囲気。
いつもの各務だ。






……
あれ?
冷静になって考えてみると、何かおかしくないか!?この状況。


秘密を見られたのは、各務だ。

ということは、弱みを握られたのは各務のはずだ。


あたしが、
バラされたくなかったら言うことをきけー!!
と言うのはあるだろう。


なのになんであたしが脅されている!?

おかしい。
絶対おかしい!


「ねえ!かが…」
「人間、言ったことには責任持たなきゃねー」

世間話でもするように、各務が突然言った。
まるであたしが何を言うか分かっていたような発言。


それで食い下がれないあたしもあたしだけど…







--
…………はあ。

思い出すたび憂鬱にある。


これからあたしはどうなるんだろう。


頭の中からは、すっかり告白のことは抜けていた。


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