窓、ひらけば君と恋。
昼休みになり、みんな教室を出ていったり、教室に残っておしゃべりをしている人もいた。



「ねぇ、香澄…松原君知らない?」


香奈が突然そんなことを聞いてきた。


「松原君…知らない…」


「そっかぁ…」


そう言うと教室を出ていった。


「香奈どうしたのかな?」


彩夏に聞いてみると、


「昼休みぐらい彼氏といたいんじゃないかな」


彼氏…


「私…屋上行ってみる。いるかもしれない…」


私は屋上まで走っていった。


屋上のドアが少し開いていた。


私は静かにドアを開けた。


そこには…


栗色の髪の毛が目にはいった。


「山本…くん…?」



その言葉に気付いたのか彼は振り向いた。



「君は…同じクラスの人?」


「うん…」


そう言うと私は山本君の隣に行った。


「蒼井…香澄です」



昼の日差しがとても気持ち良かった。


「昼の屋上って気持ちいいね…知らなかった…」


「うん…でも、それは秋の昼とか冬の少し暖かいときだよ。今日は特に…」


「前の学校でも屋上行ってたの?」


そう聞くと、山本君は少し微笑んだ。


「うん。隣に話し相手がいてね。蒼井さんみたいな」


微笑む山本君はとても優しそうだった。



「モテたでしょ。山本君って」


「そうかな…よく分かんないけど。好きな人がいたから…」


山本君は懐かしそうに話した。


「て…何で初対面の人にこんなこと話してるんだろう…」



「いいじゃん。話してよ。せっかく一緒のクラスになったんだから。私お話好きだから…」



山本君は少し伸びをするとその場に座った。



「なんか、似てる…」



「誰に?」



山本君は大きな目で私を見つめていた。


「好きだった人に…」



「そうなの…?どんな人だったの?」



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