Two Strange InterestS
07:触れた、その先
 先日みたく、自分でも気がつかないうちにフラグは立ててしまうものだと思っていたけど。

「……具合悪いなら、どうして私がいるときに風邪薬を買って来いって頼まないかなぁ?」

 私、いつの間に看病フラグを? まぁ、今更考えたって思いだせないけど、どこかで見たことのある状況であることに違いない。

 要するに、キャラクターがいきなり病に伏せる→看病イベント(イベント!?)というある意味無茶な物語構成も、上等なのである。

 ただ、本気でやると思ってませんでした、看病イベント。(だからイベントじゃないってば私)

 思い切って扉を開いた私が目にしたのは、床で転がった新谷氏の無残な死骸。(死んでない)何事かと思って名前を呼んで近づいてみる。そして、彼の体をよっこらせっと抱きかかえた瞬間……息苦しくて切ない表情と火照った全身に、とりあえず発熱を確信したのである。

 とりあえず朦朧としていた彼の意識を叩き起こし、ベッドに寝かせた。応急処置として水で絞ったタオルを額にのせると、私は一旦部屋を後にする。

 そして、大急ぎで寮の自室に戻り、風邪薬やひえぴたシートやら、必要な物資をかき集めた。彼の部屋のどこに何があるのか、正直把握していない。ないかもしれないものを探して部屋を引っ掻き回すよりも確実な方法を選ぶことにしたのだ。ついでに、寮の事務所にも「一人暮らしの友人がぶっ倒れた」と説明し、粉末のポカリや違う種類の薬など、必要物資を提供してもらうことが出来た。
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