半径1㍍禁止



願っていた。

幸せ。


ずっと、続くと思っていた。

永遠。



一瞬で、崩れてしまった。


現実。



それを粉々にしたのは、

奪っていったのは、



『裕さんが、逃がしてやるなんて幸運だぞお前。』



裕……。



それから、何ヶ月か経った日。

隣町に引っ越す事になった。



その時、思い出した。

ゆりかに約束した言葉。




「…あれから、裕って名前だけを頼りに
探したわけ。

片っ端から、潰していった。
大変だったよ。」

そう言って、笑う桐斗。


「………。」

何も言えなかった。


桐斗の味方をすれば、裕を悪く言ってしまうみたいで。



「裕は、分かってない。
あの時いた奴が、俺だったって。」


そう言った桐斗の顔は、切なげな顔をしていた。

< 237 / 504 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop