放浪カモメ

夏の大雨

山手線から千葉方面へと向かう電車が発車した。

依然として混雑する人込みを掻き分け杉宮は向かいのホームへと走る。

「あのバカ、よりによってホーム間違えやがって。くそっ!!」

息付く間もなく階段を駆け上がるとそこに


「要ちゃん……?」

ホームへと上った瞬間のその声に杉宮の緊張が切れた。

何も言わずに悠美を抱き締めると、息切れが納まるまでの間、ただずっと二人はそう立ち尽くしていた。

「要ちゃん苦しい。」

「うん。もう少しだけ……」

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