放浪カモメ

大阪

そんな頃、鴨居はひたすらにメグを捜していた。

とは言っても手がかりなど何一つとしてない。



一度だけ一緒に買い物をしたスーパー、待ち合わせをした駅前の公園、覗いてみたいなと言っていた少し高級な服屋さん。

僅かでも可能性があると思った場所はすべて探した。

「どうして?何で居なくなったんだよメグ。」

良きを切らした肩が揺れる。

走り回ってかいた汗が身体を伝った。

手掛かり一つなく人を探すことの無謀さが身に染みるようだった。

「こんな時、杉宮さんなら何て言ったかな?」

目を瞑り息を整えた鴨居。

きっと杉宮なら
「大阪行って探してこいよ。」
そう言っただろうと鴨居は確信した。

メグの生まれ育った場所、大阪。

旅行で一度だけしか訪れたことのない土地に、鴨居は不安を感じる。

すると鴨居の携帯が突然なりだした。

「もしもし?」

その声の主に、鴨居は泣いてしまいそうになるくらい安心した。

「おぅ久しぶり。何か電話くれたみたいだな、忙しくて出れなかった悪い。」

杉宮の何も変わらない態度や口調が妙に懐かしく感じた。

「先輩、オレ……」

そうして鴨居は事の一部始終を杉宮に話した。





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