放浪カモメ

衝撃

大阪全体がどんよりとした曇り空となったその日。

メグは養母とともに買い物をしていた。

「……うっ。」

時折、口元を抑えて立ち止まるメグ。

「大丈夫メグ?調子悪いの?」

背中を擦ってくれる養母の手を払いのけた。

「大丈夫だから余計なことしないで。」

妙にカリカリとしているメグに養母は妙な不安を覚えた。

「あのね真理恵……お母さん今から答えにくいこと聞くかもしれないんだけど。」

自分でも何をそんなに苛立っているのか分からないメグは、真理恵と呼ばれたことさえも気にならないほどに自分に違和感を覚えていた。

「旅で出会った人、カモくんて言ったっけ?もしかしてその人とセックスしたりした?」

野犬に襲われた日、その日のことをメグは思い出した。

メグの反応に養母は不安が確信になっていくのを感じていた。

「したのね。その時に避妊しなかったんじゃない?」

そんなことはない。

たった一回の行為で、そんな簡単に妊娠するなんて有り得ない。

浮かび上がる不安を必死で否定するメグ。

「……やっぱり。このスーパーには薬局もあるし、とにかく家で、妊娠検査してみましょう。」

そう言って養母は汗ばんだ手で、メグの震える腕を優しくつかんだ。





そして帰ってからした妊娠検査で、メグは陽性が出た。

市販の検査具では、絶対とは言えないので、すぐに養母はメグを連れて近くの産婦人科を尋ねた。



そこで、メグは妊娠していることが確かとなってしまった。
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