共鳴り
それから数日経ったある日のこと。



「…キヨ…」


「お前、その顔っ!」


殴られた上に泣きそうな顔してる俺に、清人は驚いたように目を見開いていた。


それでも何も言えなかった俺に、彼は悲しそうに口元を緩め、視線を落とす。



「派手にやられやがって。」


何で笑うん?


もしかしたら清人は、俺がバラしたことすら知ってるんかも、って。



「来たよ、嶋さん。」


清人は煙草を咥え、視線を宙へと投げた。


俺は身を強張らせてしまう。



「…何、されたん?」


「別に何もされてねぇって。
つか、お前こそ見るからに何かされてんじゃん。」


「俺のことはえぇねん!
お前、頼むからホンマのこと言えや!」


捲くし立てるが、清人はただ笑うだけ。



「ホント、ただ忠告されただけだし。
それよりさ、今は理乃んとこ帰ってやれよ。」


何もされてないはずない。


そして清人は、理乃のことをはかりにかけられたことすら知ってるような物言いやった。

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