共鳴り
言ってみれば、彼女はあからさまに迷惑そうな顔に変わり、深くため息を吐き出した。


好きなのに、理乃とおったら苦しくなるばかりや。


けど、レイコさんとやったら姉ちゃんみたいで安心するし、気楽で良いねん。



「それって本気であたしのこと口説いてるの?」


「めーっちゃ真剣やーん。」


どこがよ、と怒られた。


まぁ、テーブルに突っ伏して、口を尖らせながら言ってるんやし、そこに真剣さの欠片すらないと言われるのも仕方がないことやろうけど。



「アンタ本当に馬鹿ね。」


そして、笑われてしまう始末。


こうやって子供みたいにあしらわれることもわかってたけど、心の中にどうにも出来ないもやもやとしたものが燻っているのを感じてしまう。


どうしてもそれを埋めたくて、でもその方法がわからへん。



「レイコさんは誰も信じへんけど、俺のことはそれなりに信じてくれてるやろ?
男嫌いって言うけど、別に俺のことは嫌いちゃうように見えるで?」


「あら、自意識過剰ねぇ。」


「アンタは一緒におりたくないって思ったら、それが誰であろうと、何が何でもここから追い出すタイプやん。
なのに俺には、そんなんせぇへんし。」


レイコさんは自分の分のカップに口をつけた。



「別に俺、“一生25のレイコさん”でえぇねん。」


過去や秘密を、無理して探ろうとは思わない。


清人はどんなに頑張っても男であり、どこか戦友に近い感じやけど、この人だけは違うんかも、って。


この5年、俺が何も隠さずそれでも安堵出来た居場所やったから。



「やっぱり馬鹿なのね、銀二は。」

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