共鳴り

愛と優しさ

レイコさんが挽いた豆でコーヒーを淹れてみても、やっぱり同じ味にはならなかった。


何回作ってみても、それに変わりはない。


あの日から一週間、俺はひとりっきりでレイコさんちで暮らしている。


もちろん、一度として彼女が帰ってくることはなく、少しの寂しさを感じていた。








「レナちゃんやん。」


清人の病室に入ってみれば、見慣れた光景が広がっていた。


彼女があのホストとどうなったのかは知らないが、俺がそれを聞くことはないし、多分清人でさえもそれは知らないんだと思う。


やっぱりこのふたりは、互いのことを話したりはしないらしい。


なのにあの日以来、ほとんど片時も離れることはないみたいやけど。


よくわからへんけど、仲良しっぽくて安心してる。



「あたし、何か飲み物買ってくるよ。」


そう言って、レナちゃんは部屋を出て行った。



「…俺、気使わせたんかな?」


「や、んなことねぇだろ。」


俺が清人に会いにきたことで、もしかしたら何かを悟ったのかもしれない。


相変わらず、勘の良い子や。



「お前、もう大丈夫なん?」


「全然余裕でーす。」


あっそ、と俺は言った。


話さなければならないことが多すぎて、一体何から言えば良いか、って感じや。



「それで?」

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