共鳴り

理乃

理乃とは同じ施設出身やった。


やから初めて話したのなんか覚えてないし、みんなの中のひとりやと思ってた。


アイツは俺の7つも下やし、それこそ中学生の俺が小学生のちびっこいのに恋愛感情湧くわけないし。


話戻すけど、中学の頃の俺は清人らと常に一緒で、たまに彼女ともおったし、バイトもしてたわけやし、ごっつ忙しかってん。


けど、園の中ではえぇ兄ちゃんやったと思う。


最年長でもあったし、みんなの世話とか嫌いじゃなかったから、大家族の長男みたいなもんやんなぁ?


料理ちょっとだけ覚えたのも、手伝いとかしてたから。


りっくん、りっくん、ってみんなが俺になついてきてたわ。


理乃もそのひとりやったし、たったそれだけやった。



「ゆきちゃん、お兄ちゃん居るんだって。」


「りぃには俺がおるやん。
俺、りぃのお兄ちゃんやで?」


「ホントに?」


「ホンマやんか。」


理乃だけやなくて、みんなにそんな感じやった。


やから別に、理乃だけ特別ちゃうかってん。



「いつかりぃが園を出たら、りっくんと一緒に暮らしたい!」


「えぇよ。
その代わり、勉強ちゃんとせなあかんで?」


「やったぁ!」


ちっちゃい子なだめるのにそんなん言うの、普通やんか。


やから俺、こんな約束してたのも覚えてなかってん。


その頃は可愛いなぁ、って思ってただけやったけど、まぁ、こんな忘れてた約束に縛られることになるんや。


それはもっとずっと後のことやけど。

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