恋する背中をつかまえて


一緒に料理をする機会が、
ぐんと増えた気がする。

気のせいじゃなく。



でも、これも悪くない。



美羽の作ってくれるご飯は、
危なっかしくて
形も揃ってないんだけど。

それでも味は旨い。

美羽の家の味がする。



愛されている味がする。



美羽がご両親からも、
俺が美羽からも。



「ほら、絆創膏持ってきたぞ。
…手ぇ出してみろ」

「ん。ありがと」



差し出された人差し指は、
俺の小指くらいの太さ。



小さくて丸くて。

一生懸命で傷だらけの指。



それがまたたまらない。



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