恋する背中をつかまえて


浅野さんに報告をしなきゃね…
ってぽつりと言われたけど。

なんだか寂しげだった。



「一日でも早い方がいい」

と背中を押されて、
上司である浅野さんに
話をすることにした。



「顔色は少し良くなったね?」

声と共に現れた浅野さんは、
いつものほんわかとした
柔らかな空気を纏って、
隣の椅子に腰掛けた。



…相変わらず、

人差し指に可愛らしい
絆創膏が巻いてある。


いつもあたしと話す時の
醸し出す雰囲気とは違い、
仕事の揮を執る姿に
部下として尊敬してきた。



こんな上司の下で働けて
幸せすら感じてた。



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