恋する背中をつかまえて


触れることなど叶わない
と思っていた人の手が

自分の目の前に、
笑顔を添えて差し出されている。

それだけでも幸せだった。


そうっと傷つけないように触れると、とても温かかった。



「美羽ちゃんの手、小さいね。
俺壊しちゃいそうだよ」


…桜井さんなら、
あたし壊されてもいいです!

って言いたくなるよ〜!!



「なぁに紳士ぶってるんだよ〜、
気持ちわりぃよ」

って隣で毒づいてる。



桜井さんになんてことを…!?




「…やっぱり?」



.
< 8 / 423 >

この作品をシェア

pagetop