国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
「兄は何をしに来た。神官長が許可するとは、よほどのことだろう」
「レア様のお母上様が、お亡くなりになったそうです」
男は、顎に手をやって少しの間沈黙すると、再び口を開いた。
「王が怒ったのはなぜだ?」
「兄上様が、王を侮辱したからだと思いますが・・」
「他には?王は、女に手を出したのか?」
「・・いいえ。王は、入ってきたとたん、たいそうお怒りになったので」
「わかった。もう戻れ。また何かあれば、知らせろ」
「はい、ご主人様・・」
男の半分ほどの背丈しかないその少女は、何か言いかけようと口を開いたが、
そのまま何も言わずに、もと来た道を走り去った。
再び雲間から顔を出した月に、フン、と男は嘲笑を含んだ笑いを浮かべた。