魔女と魔獣
「これから見舞いか?」


「うん、でも週末退院なんだ。」


「長かったな。」


「うん、真重には戦いだったよ。
完全復活ではないけど
追々とよくなるだろうって。」

元哉が黙り込んだ。


「どーしたの?」


「いや、おまえってあいつのこと話す時
すごく優しい顔になるんだなって
ちょと嫉妬するべや。」


「愛してるもん。」


「運命は、どうして俺じゃない?
俺のほうがおまえを幸せに
できるかも知れないのに
おまえはあいつしか見てないんだな。」



「うれしいよ。
まっすぐな目でそう言ってくれる
女として……
きっと忘れないよ。」


「魔獣しか見えないのか?」


「うん。魔獣のために
ここにいるから・・・・
元哉は、香利さんが運命の人よ。
いつか時を越えて
何かを感じあうときがくる。
香利さんが運命の人。」


「そんなことわかんねーぞ。」


元哉が笑った。


「ありがとう。あなたに会えて
救われたことがいっぱいあった。
いつまでも素敵な元哉でいてね。


「後悔させてやるからな。」

私のおでこを指で押した。


「おまえの子供と俺の子供
男と女だったら、絶対結婚させるから。」


そう言って笑った。
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