名探偵とスイート*ハート
「……所長、これって、本当なんでしょうか」
いきなり、杏の暗い声が聞こえた。
いつもはものすごく明るくて、困るぐらいなのに……。
こいつは前からそうだった。
事務所の前で、車に退かれて死んでしまった猫をみても、
ニュースで遠い国同士の内戦が報じられたときも、
私は杏のように、深く考えない。
仕事柄かもしれないが、そうではない。
けど、杏はそういうのを見てしまうと、ものすごく自分に責任を感じるんだ。
「……杏、………その、そんなに気になるんなら、調べに行くか?」
杏は黙って、うなづいた。
「所長……、ありがとうございます」