澄んだ瞳に



俺だって、いつも傍にいて欲しいと思ってる。



毎日、澪を抱き締めたい。


出来ることなら、早く結婚して、一緒に暮らしたいと思うくらいだ。



でも、物事には順序ってもんがある。



俺は、その順序の中の、一つもクリア出来てねぇ。



一緒に暮らすのは、無理だろうが、まず、澪の彼氏として、認めてもらわねぇことには、話は始まんねぇ。


おじさんも、おばさんも、凄く良い人たちだ。



いつも、俺によくしてくれていた。



悠哉の友達としては、快く迎え入れてもらってるはず


だが、澪の彼氏として、きちんと迎え入れてもらえるのか、不安でたまらねぇ。


だって、俺は、おじさんたちから、澪を奪い去って行く野郎だかんな……。


手塩にかけた娘を………


目に入れても痛くねぇ程、溺愛している娘を………



だからこそ、おじさんたちを、泣かすようなことは出来ねぇと、思ってる。



もし、おじさんたちを泣かせるようなことになれば、板挟みになる、澪が辛い想いをするだけだ。



俺だって、そんな澪を見るのは辛い。



パッと現れて、サッと奪って行く…………


そんな神隠しみてぇな、男だけには、なりなくねぇ………



だから、俺は、自分の持てるだけの誠意をみせ、ケジメを付けねぇと…




お前を大事だと思う以上に、お前の家族も大事だ。




将来、


俺の、親父とお袋になる人たちかも、しんねぇもんな………




いや………



俺の気持ちとしては、なって欲しい………




息子として、親父さんと、酒を酌み交わしてぇ……





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