澄んだ瞳に

彼の意外な一面



プールの続きと言って、淳とひとつになり、そのまま淳の腕枕で眠ってしまった…


夜中に目が覚めた…私の隣で寝ていたはずの淳は居なかった

タバコの匂いが漂っていたので、傍に淳がいることはわかった。
部屋の隅に置かれてある、スタンドから柔らかい光がもれていた。
窓の方に目をやると、上半身裸のままの淳が立っていた。まだ暗い外を見ながらタバコを吹かしていた。私はしばらく淳の後ろ姿を見ていた。

日焼けした肌、引き締まった身体、広い背中……看取れてしまっている


「さっきから、何ずっと見てんだ…」


「どうして、わかったの?」


「窓に、映ってる…」


「だったら、言ってくれたら良かったのに…」


「そうやって、お前に見られてるのも、悪くないと思ってな…」


なんだか、いつもの淳らしくないと思った…どこか寂しそうに思えた。


「……淳…どうかした?」

淳は、窓の外を向いたまま
ポツリと言った。


「怖いんだ……」


私は、ハッとして、起き上がった…そして、淳に聞いた。


「何が、怖いの?」


……お前と付き合うようになってから、毎晩同じ夢を見て、夜中に目が覚めるようになった…その夢は、お前が急に俺の前から居なくなるんだ…俺は何度もお前の名前を呼んでるうちに目が覚める…でも、ほんとにお前がいなくなったらと考えると、怖くて眠れなくなる。こうやって夜中にぼんやりと外を見ながら、タバコ吹かして紛らしてる…


「淳…私はどこにも行かないよ…淳が嫌だって言っても、絶対離れないから…」
と、私は言った。すると、淳は、振り返り言った。

「俺が、お前を嫌になることなんか、絶対あり得ない…」


「淳…そっちに行ってもいい?」


「いや…俺がそっちに行く…お前が俺に安心をくれたから、眠くなった…」


淳はタバコの火を消すと、ベッドに入った…

そして、私をギュッと抱き締めて、「こうしてていいか?」と聞いた……私は、頷いた。


淳が目を瞑るのを確認した
『私はどこへも行ったりしない…淳の背中を見て、着いて行くから…』

と、ささやいた……

おやすみ……淳…


そのまま朝まで眠った。




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